福岡のカフェシーンは今、スペシャルティが熱い

ここ数年、「福岡 カフェ」「福岡 コーヒー」といった検索キーワードのボリュームが急増しています。

背景にあるのは、福岡の街そのものが持つポテンシャル──コンパクトシティであること、若者人口の多さ、そして“食文化”に対する感度の高さです。

もともと個人経営のカフェが多く、独自の感性を発揮する土壌があった福岡ですが、そこに“スペシャルティコーヒー”という価値観が重なり、今や全国的にも注目されるカフェエリアとなっています。

スペシャルティコーヒーとは?

スペシャルティコーヒーとは、単に「高品質なコーヒー豆」を意味するだけではありません。

生産地・品種・収穫・精製・流通・焙煎・抽出に至るまで、一貫した品質管理とトレーサビリティが確保されたコーヒーのことを指します。

SCA(スペシャルティコーヒー協会)によるカッピング評価で80点以上を獲得したものが基準とされ、産地や品種ごとに個性豊かな風味を持つのが特徴です。

果実のような香りや酸味、透明感のある味わいを追求する浅煎り系、バランス重視の中煎り、しっかりとしたコクのある深煎りまで、「コーヒーってこんなに違うの?」という驚きと発見が、スペシャルティの魅力でもあります。

なぜ“バリスタ視点”でのセレクトが信頼できるのか?

数あるコーヒーショップの中から本当に「行く価値のあるお店」を見つけるには、SNSやレビューサイトだけでは限界があります。

情報が氾濫する今こそ、“味のプロ”であるバリスタの視点が重要です。

  • どんな焙煎がされているか?
  • 抽出技術に再現性があるか?
  • 店舗の哲学がコーヒーに反映されているか?

これらの観点から選ばれたカフェは、単なる流行を超えて「長く通いたくなる一軒」ばかり。

この記事では、そんな信頼できる視点で、福岡で本当にスペシャルティが味わえる10軒を厳選しています。


バリスタが本気で推す!福岡のスペシャルティコーヒー店10選【2025年最新版】

福岡には個性豊かなスペシャルティコーヒー店が数多く存在しますが、その中でも「バリスタの視点で本気でおすすめできる店」を10軒厳選しました。

ロースターの技術、豆へのこだわり、抽出の丁寧さ、空間体験──どれをとっても、間違いのないクオリティが揃っています。

エリアごとにカフェを巡る“コーヒーハンティング”にもぴったりなラインナップです。


REC COFFEE(レックコーヒー)天神南店

特徴

福岡のスペシャルティコーヒーシーンを牽引するREC COFFEEが、天神エリアで展開する旗艦店舗。九州最大の繁華街・天神の中心に位置し、木の温もりとモルタルのスタイリッシュさを融合したデザインが特徴です。

長いベンチ席にはコンセントも完備され、ひとりでもゆっくり過ごせる居心地の良い空間。カウンターではハンドドリップの抽出を間近で見ることができ、コーヒー好きにはたまらない体験が待っています。

また、店舗ごとに異なるエスプレッソマシンにもこだわっており、天神南店では世界大会公式にも採用されたSANREMO「Café Racer」を導入。極上のエスプレッソ体験ができるのも魅力です。

おすすめポイント

  • ゲイシャラテが楽しめる 風味豊かなゲイシャ種のコーヒーを使用したラテは、華やかな香りと甘みが広がる贅沢な一杯。
  • 日本チャンピオンが手がける高品質な一杯 代表の岩瀬由和氏は、ジャパンバリスタチャンピオンシップ優勝経験を持つ実力派。バリスタの技術レベルが非常に高く、どのメニューも安心して楽しめる。

アクセス

  • 住所:福岡県福岡市渡辺通5-1-19 Hotel the Park 1F
  • 地下鉄七隈線「天神南駅」から徒歩5分

公式サイト

https://rec-coffee.com


COFFEE COUNTY(コーヒーカウンティ)

特徴

福岡・久留米発のスペシャルティコーヒーロースター。生産地に直接足を運び、作り手の顔が見える豆だけを厳選する「ダイレクトトレード」にこだわるスタイルが特徴です。

薬院店では、白を基調としたミニマルな空間で、シンプルにコーヒーそのものの個性を味わえるのが魅力。バリスタとの距離も近く、産地や豆の背景について直接聞けるカジュアルな雰囲気も人気です。

さらに、福岡市・西中洲には人気ベーカリー「pain stock」とのコラボ店舗「COFFEE COUNTY stock」も展開。モーニングメニューやコラボスイーツなど、コーヒーとパンのペアリングを楽しめる独自の取り組みを行っています。天神中央公園内という開放感あふれるロケーションも魅力です。

おすすめポイント

  • 生産者の顔が見えるダイレクトトレード豆を使用 オーナー自ら世界各国を訪問し、信頼できる生産者から直接買い付けたスペシャルティコーヒーが楽しめる。
  • 浅煎り中心のクリーンな味わい フルーティで透明感のある浅煎りコーヒーが得意。季節ごとにラインナップが変わり、何度訪れても新しい発見がある。

アクセス

  • 住所:福岡県福岡市中央区高砂1-21-21(薬院店)
  • 西鉄天神大牟田線「薬院駅」から徒歩8分

コラボ店舗情報

  • 店舗名:COFFEE COUNTY stock
  • 住所:福岡県福岡市中央区西中洲6-17(天神中央公園内)
  • アクセス:地下鉄「天神駅」から徒歩8分

公式サイト

https://coffeecounty.cc


FUGLEN FUKUOKA(フグレン福岡)

特徴

ノルウェー・オスロ発の世界的人気カフェ「FUGLEN(フグレン)」が、日本で3号店として福岡・薬院にオープン。北欧スタイルのミニマルで洗練された空間で、スペシャルティコーヒーを楽しめるカフェです。

フルーティで透明感のある浅煎りコーヒーを得意としており、豆はすべてオスロ本店で焙煎されたものを空輸。果実のような明るい酸味と、クリーンな味わいが特徴です。

昼はカフェ、夜はカクテルバーとして二面性を持ち、時間帯によって異なる表情を楽しめるのも魅力。

特に夜に楽しめるコーヒーカクテルは、コーヒーとアルコールの絶妙なバランスを追求した本格派。エスプレッソマティーニをはじめ、コーヒー好きもカクテル好きも満足できるオリジナルメニューが揃っています。

おすすめポイント

  • 世界レベルの浅煎りコーヒーが味わえる ノルウェー流の浅煎り文化を体現するフグレン。フルーティでジューシーなコーヒー体験を求めるならここ。
  • 本格的なコーヒーカクテルが楽しめる 夜はバーカウンターでコーヒーを使ったオリジナルカクテルを提供。特にエスプレッソマティーニは人気メニューのひとつ。

アクセス

  • 住所:福岡県福岡市中央区薬院1-10-5
  • 西鉄天神大牟田線「薬院駅」から徒歩5分

公式サイト

https://fuglencoffee.jp


MANLY COFFEE(マンリーコーヒー)

特徴

福岡・白金エリアに佇むスペシャルティコーヒー専門店。オーナーの須永紀子氏は、スターバックス勤務時代にブラックエプロンを獲得し、シアトル本社での研修も経験した実力派。ローストマスターズチャンピオンシップでは審査員部門で優勝し、日本におけるエアロプレスチャンピオンシップ開催の立役者でもあります。

MANLYという店名は、オーストラリア・シドニーのマンリービーチにちなんだもの。リラックスした空気感と、芯の通った本格的なコーヒー作りが共存する、温かみのあるショップです。

店内では産地や生産者へのリスペクトを大切にしたシングルオリジンコーヒーを、丁寧に提供。福岡のスペシャルティシーンを支える1軒として、コーヒーラバーから厚い支持を集めています。

おすすめポイント

  • 女性ロースターの先駆者が手がける一杯 須永紀子氏が厳選し焙煎するコーヒーは、豆本来の個性を最大限に引き出すアプローチ。国内外のコーヒーファンから高い評価を得ています。
  • シングルオリジンにこだわったスペシャルティコーヒー 産地ごとの風味を尊重し、浅煎りから中煎りを中心に提供。華やかな香りと透明感のある味わいが特徴です。

アクセス

  • 住所:福岡県福岡市中央区平尾2-14-21
  • 西鉄天神大牟田線「西鉄平尾駅」から徒歩3分

公式サイト

https://manly-coffee.com


THE LOCAL COFFEE STAND Fukuoka(ザ ローカル コーヒースタンド 福岡)

特徴

東京・渋谷発の人気カフェ「THE LOCAL COFFEE STAND」の2号店として、2020年に福岡・大名エリアにオープン。

国内外の注目ロースターが焙煎したコーヒーを月替わりで提供するスタイルが特徴です。1つのロースターから4種類の豆をラインナップし、同じ生産地・処理方法でもロースターによる味わいの違いを楽しめるのが大きな魅力。まさに「コーヒーは多様性の飲み物」を体現する一軒です。

店舗は開放感のあるガラス張りのデザインで、カフェ初心者からコーヒーマニアまで気軽に立ち寄れる雰囲気。バリスタとの距離も近く、豆選びや味の相談ができるのも人気の理由です。

さらに、全国のロースターと福岡のコーヒーラバーを繋ぐ“ハブ”的な存在としても注目されています。

おすすめポイント

  • 月替わりで全国のロースターの豆を飲み比べできる 1ロースターにつき4種の豆を用意。同じロースターでも異なる表現の違いを楽しめる、コーヒー好きにはたまらない体験。
  • 福岡の中心・大名エリアでアクセス抜群 天神・赤坂エリアから徒歩圏内。ショッピングや観光の合間に立ち寄れる抜群のロケーション。

アクセス

  • 住所:福岡県福岡市中央区大名1-2-36 セルバ西大名 1F
  • 地下鉄空港線「赤坂駅」から徒歩5分

公式Instagram

https://www.instagram.com/thelocalfukuoka


CAFÉ Miel(カフェミエル)

特徴

JR博多駅の目の前、福岡センタービル地下2階にひっそりと佇む「カフェミエル」は、創業50年を超える老舗喫茶店を、日本屈指のスペシャルティコーヒー専門店「ハニー珈琲」が事業承継し、2012年に生まれ変わったユニークなカフェです。

店内は木材をふんだんに使用したレトロな内装で、L字型のカウンターや昭和の雰囲気が色濃く残る照明、壁面装飾など、どこか懐かしくも温かみのある空間が魅力。“古き良き純喫茶の世界観×本格スペシャルティコーヒー”という唯一無二のコンセプトを実現しています。

使用する豆は、世界各地の生産者と信頼関係を築くハニー珈琲が厳選。深みと華やかさを兼ね備えた味わいで、老舗の風格とスペシャルティ品質が見事に融合しています。

おすすめポイント

  • スペシャルティコーヒーと昭和純喫茶が融合した希少な一軒 事業承継によって再生されたこの店は、空間もコーヒーも本物志向。全国でも稀有な存在です。
  • 看板メニューのホットサンド&ティラミスは必食 特注パンを使ったホットサンドや、カフェオレベースを染み込ませたクラシックなティラミスも高評価。

アクセス

  • 住所:福岡県福岡市博多区博多駅前2-2-1 福岡センタービル地下2階
  • JR博多駅より徒歩1分(地下直結)

公式Instagram

https://www.instagram.com/cafemiel.honey


豆香洞コーヒー(とうかどうコーヒー)

特徴

福岡県大野城市の住宅街に位置する「豆香洞(とうかどう)コーヒー」は、焙煎の世界チャンピオン・後藤直紀氏が手がけるスペシャルティコーヒー専門店。2013年、フランスで開催された「ワールド・コーヒー・ロースティング・チャンピオンシップ(WCRC)」で日本人として初優勝を果たし、全国から注目される存在となりました。

もともとは缶コーヒー好きだった後藤氏が、“コーヒーの味”よりも“人や空間”に惹かれ業界入り。焙煎の奥深さに魅了され、2年間独学で学びながら東京・カフェ・バッハで修行を重ね、2008年に豆香洞コーヒーを開業しました。

店の焙煎所には、世界中から届いた麻袋入りの生豆が積まれ、大型焙煎機が唸りを上げる本格的な空間。福岡発の名店でありながら、全国のカフェ・レストランから豆の注文が絶えません。

おすすめポイント

  • 焙煎世界一の技術を日常に 味・香り・バランスに優れた極上のコーヒーを、専門性と安定感をもって提供。後藤氏の哲学が凝縮された一杯が味わえます。
  • オンラインでも全国から注文可能 約20種類の焙煎豆が揃う通販では、焙煎士のテイスティングノート付きで初心者にも選びやすく、自宅でも極上のコーヒー体験が可能。

アクセス(白木原本店)

  • 住所:福岡県大野城市白木原3-3-1
  • 西鉄天神大牟田線「白木原駅」から徒歩3分

公式サイト

https://tokado-coffee.com


マヌコーヒー 大名店(manu coffee Daimyo)

特徴

福岡のストリートカルチャーと共に成長してきたマヌコーヒー。その中でも大名店は2011年にオープンした2号店で、「五感を刺激するカフェ」をコンセプトにした個性派空間が特徴です。国体道路沿いのビル奥に構えたこの店舗は、オープン以来、福岡の若者文化と地元民の憩いの場として愛され続けています。

店内には、ビビッドなレモンイエローの壁、廃材を再利用した手づくりの椅子、アート作品、エスプレッソ豆のホッパーで作った照明、さらには週末限定でシャボン玉が舞うマシンなど、遊び心とデザイン性があふれる仕掛けが満載。

中庭スペースやソファ席もあり、ゆったりくつろげる空間設計になっています。

おすすめポイント

  • 福岡カルチャーの交差点的存在 アートや音楽、イベントも交えながら地域と共に進化するカフェ。単なる喫茶ではなく、“体験の場”としてファン多数。
  • 五感を刺激するポップ&アートな店内 カフェで過ごす時間そのものが楽しくなる。空間そのものが一種のメディア。

アクセス

  • 住所:福岡県福岡市中央区大名1-1-3 石井ビル1F
  • 地下鉄空港線「天神駅」から徒歩7分

公式サイト

https://manucoffee.com


BASKING COFFEE(バスキングコーヒー)

特徴

2014年に福岡市東区・千早で開業して以来、華美な演出に頼らず、“なんとなく飲んで、なんとなくおいしい”と感じてもらえる一杯を大切に、コーヒーファンの心を掴み続けているスペシャルティコーヒー専門店です。

オーナーロースターの榎原圭太さんは、もともとバックパッカーやバンド活動をしていたという異色の経歴の持ち主。商業的なスケール拡大にはこだわらず、信頼できるスタッフとの縁を育みながら、千早・春日原・広島・六本松へと自然な形で店舗展開を進めてきました。

最新店舗である六本松店は焙煎所を兼ねており、ガラス越しに焙煎の様子を眺めながらコーヒーを楽しむことができます。店内は1階・2階にイートインスペースを備え、モーニング営業も実施。ここでしか味わえない限定メニューやブレンドも充実しています。

おすすめポイント

  • 浅煎り〜中煎り中心、余韻の甘さを重視した焙煎スタイル 豆はグアテマラやコスタリカなどからダイレクトトレード。軽やかで透明感ある味わいが特徴。
  • 全国でも珍しい“自由なローカルブランド” 常連でも新しい発見がある、福岡カルチャーと親和性の高いコーヒーショップ。
  • 焙煎所併設の六本松店では朝8時からモーニングも はちみつバタートーストやピザトーストとともに飲む一杯は、格別のスタートを届けてくれます。

アクセス(六本松店)

  • 住所:福岡県福岡市中央区六本松3-5-28
  • 地下鉄七隈線「六本松駅」から徒歩5分

公式サイト

https://www.baskingcoffee.com


スペシャルティコーヒーを楽しむなら“お店選び”がカギ

せっかくなら、ただ美味しいだけでなく、自分の好みに合ったコーヒーショップを見つけたい。

そんなとき、どうやって“いいお店”を見極めればいいのでしょうか?

ここでは、バリスタやコーヒーラバーが大事にしている3つの視点をご紹介します。


1. 味だけじゃない、空間とストーリーも大事に

スペシャルティコーヒーは「味の良さ」だけが価値ではありません。

そのコーヒーがどこで・誰によって・どんな想いで作られているか──そのストーリーや背景を知ることで、味わいにも深みが生まれます。

たとえば、生産者とのダイレクトトレードや、環境に配慮したサステナブルな取り組みを行っている店舗には、信頼と共感が集まりやすいのです。

また、空間も大切な要素のひとつ。静かに過ごせる場所なのか、会話が弾む雰囲気なのか、自分にとって居心地の良い空間を選ぶことが、長く通いたくなるお店選びの鍵になります。


2. 「豆の表示」がきちんとされているかチェック

良質なスペシャルティコーヒー店では、使用している豆の情報(産地・品種・精製方法・焙煎日など)が明確に表示されています。

この透明性こそが、“真摯にコーヒーと向き合っているお店”の証拠です。

加えて、豆の販売をしているお店では、スタッフが丁寧に説明してくれるかどうかも重要なポイント。コーヒー初心者にも寄り添い、丁寧に提案してくれるお店は、安心してリピートできる存在です。


3. 一貫した姿勢があるかどうか

雰囲気は良くても、日によって味がバラついたり、スタッフによって対応に差があったりするようでは、本当の意味で「良い店」とは言えません。

ドリンクのクオリティはもちろん、接客、空間づくり、音楽選びにまで“一貫性のある美意識”が感じられるお店は、リピーターも自然と増えていきます。


まとめ|お気に入りの一杯は、きっと福岡で見つかる

まとめ|お気に入りの一杯はきっと福岡で見つかる

「スペシャルティコーヒー」という言葉が、ただのブームではなく、“文化”として根づきつつある福岡。

その背景には、豆の品質や技術だけでなく、真摯な作り手の哲学と、それを支える街の空気があります。

本記事で紹介した10軒は、どこも単に「おしゃれ」「話題」というだけではなく、地元に根ざし、長く愛され続けている理由のあるお店ばかりです。

一杯のコーヒーを通して、人や土地、物語に触れられる──そんな体験こそが、スペシャルティの本質なのかもしれません。

観光で訪れる方も、地元の方も、ぜひお気に入りの一杯を見つけてみてください。

日常の延長線上にある“ちょっといい時間”が、きっと福岡のどこかに待っています。