海外のレストラン・バーで恥をかかない基本マナー
海外の飲食店では、日本とはまったく異なるマナーや文化が存在します。知らずに“やってはいけないこと”をしてしまい、気まずい空気に…なんて経験、避けたいですよね。ここでは、スマートにふるまうための基本マナーを丁寧に解説します。旅先でも恥をかかず、自信を持って食事やお酒を楽しみましょう。
入店から退店までのスマートな流れ
海外のレストランやバーでは、最初の一歩から「マナー」は始まっています。以下に代表的な流れと注意点を紹介します。
1. 入店時はスタッフに声をかけるのが基本
日本では黙って入って席につくことも珍しくありませんが、海外ではNG。レストランでは「Hi, table for two, please.(2名なんですが)」と声をかけ、案内されるのを待ちましょう。勝手に席につくのは失礼にあたる場合があります。
2. 着席後はナプキンを膝に
席に案内されたら、ナプキンを膝の上に置くのが基本マナーです。これは「これから食事を始めますよ」という合図にもなります。店員への合図やマナーサインとしても使われます。
3. 食事中は静かに、丁寧に
大声での会話やスマホを見ながらの食事は控えましょう。カジュアルなバーでも「食事を楽しむ」という文化は大切にされています。食器の使い方、手の置き方にも注意を。
4. 退店時は軽いお礼とアイコンタクト
食事後の「Thank you, it was great!」はぜひ添えたいひと言です。チップ文化がある国ではこの一言がチップとともに店員の印象を良くする大きな要素になります。バーでは、会計後に軽くグラスを上げたり、手を振ったりするのもスマートです。
やりがちなNG行動10選|日本人がついやってしまう“癖”とは?
海外旅行で“日本人あるある”とされる行動の中には、現地では失礼と受け取られるものもあります。以下に、よくある10のNG行動をまとめました。
- 無言で席に着く
- 「すみませーん!」と大声で店員を呼ぶ
- ナプキンを紙のように無造作に扱う
- 麺類をすする(欧米ではNG)
- 食器を持って食べる(欧米では基本的にNG)
- 写真を撮りすぎる・フラッシュ撮影
- チップを置かずに退店
- 食べ残しを当然のように持ち帰ろうとする(国によりNG)
- スタッフに上から目線の態度をとる
- お酒の席で「注ぎ合い」をする(欧米では奇異に映る)
すべてが“絶対ダメ”というわけではありませんが、文化の違いを理解しようとする姿勢が大切です。
欧米とアジアで異なるマナーの常識|「郷に入っては郷に従え」が鉄則
海外のマナーは、国によって意外なほど違います。例えば——
- アメリカ・カナダでは、フレンドリーな接客が多く、客側もカジュアルな会話が歓迎されます。食器を持って食べることはマナー違反。
- フランス・イタリアでは、丁寧な物腰と静かな会話が好まれます。ナプキンの扱いや食後の余韻を大切にする文化も。
- タイやベトナムなどのアジア圏では、手で食べる料理も多く、床に座る形式など独自のスタイルがありますが、基本的には敬意をもって接すればOKです。
どの国でも共通するのは、「その土地のルールを尊重しようとする姿勢」が伝わること。それだけで、多少のミスも笑顔で許されるものです。
予約で焦らない!海外レストラン・バーのスマートな予約方法
「現地で気になるお店を見つけたけれど、予約が必要だった…」そんな後悔をしないために、海外での予約方法をマスターしておきましょう。英語が苦手でも大丈夫。便利なアプリや使えるフレーズを押さえれば、スムーズにレストラン・バーを楽しめます。
英語での電話予約・メール予約に使えるフレーズ集
まずは、電話やメールで予約する際に使える定番フレーズをご紹介します。
📞 電話予約で使えるフレーズ
- “I’d like to make a reservation for two at 7 PM tonight.” (今夜7時に2名で予約をしたいのですが)
- “Do you have a table available?” (空いている席はありますか?)
- “Could I get a table by the window?” (窓際の席は空いてますか?)
- “It’s under the name of Tanaka.” (田中という名前で予約しています)
📧 メール予約の例文
件名:Reservation Request for [Date] at [Restaurant Name]
本文例:
Dear [Restaurant Name] team,
I would like to make a reservation for 2 people on [date] at [time].
Please confirm if this time is available.
Best regards,
[Your Name]
丁寧な言い回しを心がければ、英語が多少拙くても問題なく対応してもらえることがほとんどです。
OpenTableなど予約サイト&アプリ5選|代行サービスも活用
英語が不安な方や、海外に渡航する前に計画を立てたい方には、オンライン予約サイトやアプリの活用がおすすめです。以下に代表的なサービスをご紹介します。
サービス名 | 特徴 |
---|---|
OpenTable | 世界中のレストランを検索・予約できる定番アプリ。レビューも豊富。 |
Resy | アメリカ・カナダ中心。ハイエンド志向の店が多い。 |
Tock | プリフィクスコースやデポジット予約制の店が多く、事前決済が可能。 |
TheFork(ヨーロッパ向け) | フランス・イタリアなど欧州に強い。割引プロモも多い。 |
グローバルなGoogleマップの予約機能 | 最近ではGoogle上で空席・予約が確認できる店舗も増加中。 |
また、ホテルのコンシェルジュサービスや、クレジットカード会社(アメックスなど)の特典予約代行を活用するのも一手。英語でのやりとりを避けたい方におすすめです。
ドレスコードやキャンセルポリシーの確認ポイント
せっかく予約しても「服装NGで入れない」「キャンセル料が発生した」などのトラブルは避けたいですよね。以下の点は事前にチェックしておきましょう。
- ドレスコードの種類 例)カジュアル/スマートカジュアル/フォーマル ジーンズ・TシャツNGの店も多いので注意。
- キャンセルポリシーの明記 特にヨーロッパや高級店では「24時間前以降のキャンセルで全額請求」といった条件も。 サイトやメールでキャンセル条件を必ず確認しましょう。
- 遅刻の扱い 予約時間に遅れると席を解放されてしまうこともあります。10〜15分遅れそうなときは、事前に電話を入れるのがベター。
チップの正解、知ってますか?国別チップ文化と支払い方
「このレシート、チップ込み?別?」
「渡し方がわからない…」
海外でのチップ文化に戸惑った経験、ありませんか?日本にはない習慣だからこそ、事前に知っておくことでスムーズに対応できます。この章では、国ごとのチップの相場やスマートな渡し方、そして“よくある勘違い”も一緒に解消していきます。
アメリカ・カナダ|チップ必須文化と相場・渡し方
アメリカやカナダでは、チップは「マナー」ではなく「必須文化」です。飲食店のスタッフの時給が低く設定されている分、チップが収入の大部分を占めています。
▶ チップの目安
- レストラン/バー:15〜20%が一般的
- 高級店・丁寧な接客なら:20〜25%
- テイクアウトやカフェ:1〜2ドル程度、または不要
▶ 渡し方
- クレジットカード支払い時:レシートに「Tip」欄があるので、金額を書いて合計を記入
- 現金払い時:お釣りを受け取った後にテーブルへ置いていくスタイルが一般的
「チップは評価」ではなく、「含まれていない前提」であることを忘れずに。
ヨーロッパ|国によって異なる「サービス料込み」の概念
ヨーロッパでは、サービス料(Service Charge)が会計に含まれているケースが多く、チップの扱いは国によって異なります。
▶ フランス・イタリア・スペインなど
- サービス料込みの場合が多く、追加のチップは必須ではない
- ただし、気持ちとして小銭(1〜2ユーロ)を置くと好印象
▶ ドイツ・オーストリア・スイスなど
- サービス料込みでも、端数を切り上げて渡すのがスマート 例)€18.50の会計 → €20渡して「Keep the change.」
▶ イギリス
- ロンドンなど都市部では、サービスチャージ12.5%が自動加算されることが多い
- 請求書に記載がない場合は10〜15%を目安に
国によって“当たり前”が違うので、現地での確認が必須です。
アジア・中東・その他|不要な国もある?迷わない判断基準
アジア圏ではチップ文化がない国も多く、チップを渡すと逆に困惑されるケースもあります。
▶ チップ不要の国
- 日本・韓国・中国・シンガポールなど:基本的にチップ不要
- 丁寧な接客へのお礼は言葉や笑顔で十分です
▶ 渡す場面がある国
- タイ・インドネシア・ベトナムなど一部では、観光地や高級ホテルでの接客に対して少額のチップ(10〜50バーツ)を渡す文化あり
- 中東諸国(ドバイなど)では、高級店やホテルでのサービスに対して10〜15%程度が相場
迷ったときは、現地のガイドブックやスタッフに聞くのが一番確実です。
サービスチャージとの違いと、レシートの見方を解説
レストランのレシートを見ても「これ、チップ含まれてるの?」と迷うことが多いですよね。以下の用語に注意して確認しましょう。
表記 | 意味 |
---|---|
Service Charge | 会計に自動加算されたサービス料。チップを別途払う必要なし(が、上乗せしても可) |
Gratuity | 実質チップのこと。15〜20%程度が含まれている場合も |
Tip欄 | 自分で金額を記入して合計を出す形式(特にアメリカ) |
VAT(付加価値税) | 日本の消費税にあたるもの。チップとは無関係 |
✔ Tip or Not Tip? → レシートを必ず確認!記載がなければ、10〜20%を目安に自分で加算しましょう。
使える!海外レストラン&バー英会話フレーズ集【客編・店員編】
「何を言えばいいのか分からず無言…」
「聞かれても、どう返せばいいの?」
海外のレストランやバーでよくある不安を解消するために、シーン別で“すぐに使える英語フレーズ”をまとめました。英語が苦手でも、これさえ押さえておけば怖くない!客側・店員側の両視点から紹介します。
予約・入店時に使える英語フレーズ
予約しているとき/していないときで、言い方が少し変わります。以下のフレーズをシンプルに使い分けましょう。
▶ 予約ありのとき
- “Hi, I have a reservation under the name of Tanaka.” (こんにちは、田中という名前で予約しています)
- “We have a table for two at 7 PM.” (7時に2人で予約しています)
▶ 予約なしのとき
- “Do you have a table for two?” (2人分の席はありますか?)
- “Can we get a table by the window, if possible?” (できれば窓際の席がいいのですが)
▶ 案内されるとき
- “Thank you.” “This is fine.” “Perfect.” (ありがとう/ここで大丈夫です/完璧です)
笑顔と一緒に伝えれば、文法が多少間違っていても問題ありません。
注文・食事中のやりとり|おすすめの聞き方や確認表現
メニューを前にしたとき、気になるのは「何がおすすめ?」「これって何の料理?」ですよね。そんなときに使えるフレーズはこちら。
▶ おすすめを聞く
- “What do you recommend?” (おすすめは何ですか?)
- “What’s your most popular dish?” (一番人気の料理は何ですか?)
▶ 内容を確認する
- “What’s in this dish?” (この料理には何が入ってますか?)
- “Does this contain nuts?” (ナッツは入っていますか?)
- “Is this spicy?” (これは辛いですか?)
▶ 食事中の一言
- “It’s delicious!” (とてもおいしいです)
- “Could we get some water?” (水をいただけますか?)
- “Could you bring some extra napkins?” (ナプキンをもう少しいただけますか?)
店員は「料理が運ばれた後」に“Is everything OK?”などと聞いてくることがあります。そのときは…
- “Yes, thank you!” (はい、ありがとう)
- “It’s great!” (最高です!) など、シンプルに返せば大丈夫です。
会計・クレーム対応の英語フレーズと丁寧な表現
最後に重要なのが会計時。トラブル対応やチップ記入時も含め、よく使う表現をまとめました。
▶ 会計をお願いする
- “Could we have the check, please?”(米)
- “Can I get the bill, please?”(英) (お会計をお願いします)
▶ クレジットカード払い時
- “Can I pay by card?” (カードで払えますか?)
- “I’d like to split the bill.” (会計を分けてもらえますか?)
▶ クレームがあるとき
- “Excuse me, this isn’t what I ordered.” (すみません、注文と違います)
- “Sorry, but this is a bit cold.” (申し訳ないですが、ちょっと冷めています)
怒らず、丁寧な口調で伝えれば、多くの場合すぐに対応してくれます。
店員がよく使うフレーズとその意味|「Still working on it?」など
最後に、店員側がよく使う英語も少しだけ知っておくと安心です。
フレーズ | 意味 |
---|---|
“Still working on it?” | まだ召し上がってますか?(皿を下げるタイミング確認) |
“How would you like that cooked?” | 焼き加減はどうされますか?(ステーキなど) |
“Anything else?” | 他にご注文はありますか? |
“Enjoy your meal!” | ごゆっくりどうぞ! |
聞き返せなかったときは、笑顔で “Sorry?” と言えばOK。丁寧に言い直してくれるはずです。
まとめ|英語ができなくても、文化を知れば海外は楽しめる
海外でのレストランやバー体験は、食事以上に「文化との出会い」の場です。確かに英語がスラスラ話せれば便利ですが、それ以上に大切なのは、相手の文化やマナーを理解しようとする姿勢です。
これまでご紹介してきたように、ほんの少しの予習があれば——
- 店員への声のかけ方
- 注文や支払いのやりとり
- チップやドレスコードの基本ルール
- そして文化ごとの“暗黙のマナー”
こうした「知っているかどうか」が、体験の満足度を大きく左右します。
また、最近では便利な翻訳アプリや予約サービス、予約代行コンシェルジュも多く登場しています。英語に自信がない人でも安心して楽しめる環境は、どんどん整ってきています。
だからこそ、「話せないから無理」と決めつけずに、一歩踏み出す勇気を持つことが何よりのマナーなのかもしれません。
旅先での食事が「ただの食事」ではなく、思い出になるように——。
この記事があなたの海外レストラン&バー体験の一助になれば幸いです。