1. はじめに|防火管理者とは?
飲食店を運営する際、火災リスクへの備えは不可欠です。
厨房設備や可燃物を扱う飲食店は火災のリスクが高く、厳格な防火対策が求められています。
そのため、一定規模以上の飲食店では防火管理者の選任が法律で義務付けられています。
防火管理者とは?
防火管理者とは、消防法に基づき、火災予防のための管理業務を行う責任者です。
飲食店を含む事業施設では火災を防ぐ管理体制を整える必要があり、防火管理者が中心的な役割を担います。
防火管理者の主な役割
- 防火管理計画の作成(火災予防のルール策定)
- 従業員への防火教育(避難訓練、初期消火の指導)
- 消火設備・避難経路の管理(消火器、非常口の点検)
- 消防署への報告・届出(防火管理計画の提出)
防火管理者は、飲食店の安全を守る重要なポジションです。
防火管理者を選任しないとどうなる?
防火管理者を選任しないと、法律違反となり罰則の対象になる可能性があります。
📌 防火管理者を選任しないリスク
- 消防法違反で指導・改善命令の対象に
- 悪質な場合、罰金や営業停止処分の可能性
- 火災発生時の対応遅れで、店舗の信用を失う
「うちは大丈夫」と油断せず、法令を遵守し、適切な防火管理を行うことが大切です。
次のセクションへ|防火管理者の選任が義務付けられる飲食店とは?
すべての飲食店が防火管理者を選任する必要があるわけではありません。
次のセクションでは、選任が義務付けられる店舗の条件を解説します!
2. 防火管理者が必要な飲食店の条件
防火管理者は、すべての飲食店で必要なわけではありません。
店舗の規模や用途に応じて、選任が義務付けられる基準が設けられています。
ここでは、防火管理者の選任義務がある飲食店の条件について解説します。
① 防火管理者が必要な基準とは?
防火管理者の選任が義務付けられるのは、以下の条件を満たす建物・飲食店です。
📌 防火管理者の選任が必要な条件
- 収容人員30人以上の飲食店(従業員+客の合計)
- 防火対象物(飲食店・ホテル・劇場など)に該当する店舗
- 延べ面積が一定規模以上の建物(用途により基準が異なる)
飲食店では、店舗の広さよりも「収容人員30人以上かどうか」が選任義務のポイントになります。
小規模な店舗でも、席数や従業員の数を合計して30人を超えると選任が必要になるため注意が必要です。
② 防火管理者を選任しないリスク
防火管理者の選任義務があるのに、選任しなかった場合、消防法違反となります。
📌 選任しなかった場合のリスク
- 消防署から指導・勧告を受ける
- 悪質な場合、罰金(30万円以下)や営業停止の可能性
- 火災時に適切な対応ができず、大きな損害につながる
火災発生時に防火対策が不十分だった場合、法律上の責任が問われることもあります。
店舗の安全と信頼を守るためにも、防火管理者を選任し、適切な管理を行うことが重要です。
③ 防火管理者が不要な場合でも、防火対策は必須!
防火管理者の選任義務がない場合でも、火災リスクを考えると適切な防火対策が必要です。
📌 防火管理者が不要な場合でもやるべき対策
- 消火器の設置・点検を徹底する
- 避難経路を確認し、出入り口を塞がない
- 従業員向けの防火・避難訓練を定期的に実施する
小規模な飲食店でも、火災時に冷静な対応ができるよう、日頃から防火意識を高めておくことが大切です。
次のセクションへ|防火管理者の資格取得と選任方法とは?
防火管理者の選任が必要な場合、資格を取得し、正式に選任する手続きが必要になります。
次のセクションでは、防火管理者の資格取得方法や選任手続きの流れについて解説します!
3. 防火管理者の資格取得と選任方法
防火管理者を選任するには、適切な資格を取得し、正式に手続きを行う必要があります。
資格は講習を受講することで取得できるため、スムーズに進めるための流れを把握しておきましょう。
① 防火管理者の資格取得方法
防火管理者には、「甲種防火管理者」と「乙種防火管理者」の2種類があり、飲食店の規模や用途に応じて取得する資格が異なります。
📌 防火管理者の資格区分
資格区分 | 必要な施設・用途 | 受講時間 |
---|---|---|
甲種防火管理者 | 収容人員30人以上の飲食店・ホテル・劇場など | 2日間(10時間以上) |
乙種防火管理者 | 小規模な飲食店・事務所・工場など | 1日(5時間以上) |
基本的に、飲食店は甲種防火管理者の資格が必要になることがほとんどです。
特に、ビル内のテナントや大型店舗は甲種が求められるケースが多いため、事前に確認しておきましょう。
② 防火管理者の講習を受けるには?
防火管理者の資格は、各都道府県の消防署または消防設備協会が実施する講習を受けることで取得できます。
📌 受講の流れ
- 講習日程を確認し、申し込む(定員制のため早めの予約が必要)
- 講習を受講する(甲種は2日間、乙種は1日)
- 講習修了証を受け取る(試験なし、受講のみで取得可能)
受講料は自治体によって異なりますが、甲種で7,000円~10,000円程度、乙種で5,000円前後が一般的です。
また、講習は人気があり定員が埋まりやすいため、開業準備の早い段階で受講しておくことをおすすめします。
③ 防火管理者の選任手続きの流れ
防火管理者の資格を取得したら、正式に選任手続きを行う必要があります。
📌 防火管理者の選任手続きの流れ
- 防火管理者を決定(店舗オーナーまたは管理責任者が取得するケースが多い)
- 消防署へ「防火管理者選任届出書」を提出(開業時に提出が必要)
- 防火管理計画を作成し、消防署に届け出
- 定期的な消防訓練を実施し、記録を保管
防火管理者の選任が必要な店舗では、営業開始前に届出が求められるため、許可申請と並行して準備しておくのがポイントです。
次のセクションへ|防火管理者の具体的な業務とは?
防火管理者は、単に資格を取得するだけでなく、日々の店舗運営の中で防火管理業務を適切に行うことが求められます。
次のセクションでは、防火管理者が実際に行う業務や店舗での役割について解説します!
4. 防火管理者の具体的な業務とは?
防火管理者を選任した後は、日常的な防火対策の実施が求められます。
「資格を取得して終わり」ではなく、火災を未然に防ぐための管理業務を継続することが重要です。
ここでは、防火管理者が行う具体的な業務について解説します。
① 防火管理計画の作成と届け出
防火管理者は、防火管理計画を作成し、消防署に届け出る義務があります。
📌 防火管理計画とは?
防火管理計画とは、火災を防ぐためのルールや手順を明記した書類のことです。
以下の内容を盛り込み、店舗の防火対策を整理しておく必要があります。
防火管理計画に含まれる主な内容
- 消防設備の設置・点検スケジュール
- 火気使用時のルール(調理場の管理、喫煙エリアの制限など)
- 従業員への防火教育計画
- 避難誘導の方法・経路の確認
- 消防訓練の実施スケジュール
防火管理計画は、店舗の営業形態や規模に応じて作成する必要があり、消防署の審査を受けることが義務となっています。
② 消防訓練の実施と従業員教育
防火管理者の重要な役割のひとつが、店舗スタッフに対する防火教育の実施です。
飲食店では、火災発生時の迅速な対応が被害の拡大を防ぐカギとなります。
📌 従業員向け防火教育のポイント
- 消火器・火災報知器の使い方を周知
- 火災時の避難誘導の流れを共有
- ガス機器・電気機器の安全な使用ルールを確認
また、消防訓練は年2回以上実施し、記録を保管することが義務付けられています。
定期的に防火対策を見直し、従業員がいつでも冷静に対応できる環境を整えることが重要です。
③ 消火設備・避難経路の管理
飲食店では、消火設備や避難経路を適切に管理することも防火管理者の役割です。
📌 定期点検が必要な設備
- 消火器・火災報知器(正常に作動するかチェック)
- 避難経路・非常口(障害物がないか確認)
- ガス・電気設備(漏電・ガス漏れの危険がないか点検)
特に、避難経路が荷物や什器で塞がれているケースは消防法違反となり、指導対象になります。
日頃から設備の点検を行い、万が一の火災時に安全に避難できる環境を維持することが大切です。
次のセクションへ|防火管理者の選任で安全な飲食店経営を
防火管理者は、火災予防のために日常的な管理業務を担う重要なポジションです。
次のセクションでは、防火管理者の役割を再確認し、安全な店舗運営のポイントをまとめます!
5. まとめ|防火管理者の選任で安全な飲食店経営を
飲食店は、火を扱う機会が多く、火災リスクが高い業種のひとつです。
だからこそ、防火管理者を適切に選任し、日常的な防火対策を徹底することが、安全な店舗運営には不可欠です。
✅ 防火管理者選任のチェックリスト
防火管理者を選任し、適切に業務を遂行するために、以下のポイントを押さえておきましょう。
📌 防火管理者の選任準備
☑ 自店舗が防火管理者の選任義務に該当するか確認(収容人員30人以上の飲食店)
☑ 防火管理者の資格を取得する(甲種または乙種の防火管理者講習を受講)
☑ 講習受講後、消防署に「防火管理者選任届出書」を提出する
📌 防火管理者の業務遂行
☑ 防火管理計画を作成し、消防署に届け出る
☑ 年2回以上の消防訓練を実施し、従業員への防火教育を行う
☑ 消火設備・避難経路を定期的に点検し、安全管理を徹底する
防火管理者の業務は、店舗の安全だけでなく、従業員や顧客を守るために必要不可欠です。
防火管理を徹底し、安全で信頼される飲食店経営を!
飲食店経営において、火災対策の強化は重要なリスクマネジメントのひとつです。
防火管理者を適切に選任し、日常の防火管理を徹底することで、安心・安全な飲食店運営が実現できます。
☑ 防火管理者の選任と適切な防火対策を行い、火災のリスクを最小限に抑えましょう!