1. はじめに|飲食店営業に必要な許認可とは?

飲食店を開業する際、店舗やメニューの準備も大切ですが、まず必要なのが「許認可」の取得です。営業を始めるには、法律で定められた許可を得る必要があります。

「許認可」というと複雑に感じるかもしれませんが、必要な手続きを順番に進めれば、スムーズに取得可能です。ただし、申請漏れや手続きの遅れがあると、開業スケジュールが狂ってしまうため、早めの準備が大切です。

本記事では、飲食店営業に必要な許認可と取得の流れを解説します。業態ごとに異なる手続きや、スムーズに進めるポイントも紹介するので、ぜひチェックしてください!


無許可営業は違法!飲食店には許可が必須

飲食店の営業には、保健所などの行政機関から許可を取得する必要があります。特に重要なのが、「飲食店営業許可」。この許可なしに営業すると、食品衛生法違反(無許可営業)となり、営業停止や罰則の対象になる可能性があります。

📌 無許可営業のリスク

罰則の可能性 → 営業停止命令や罰金の対象に

信頼の低下 → 顧客や取引先からの信用を失う

保健所の監査 → 違反が発覚すると、指導や監査が入る

飲食店を運営するためには、必要な許可を取得し、法令を遵守することが必須です。

次のセクションでは、飲食店に必要な基本の許認可と取得手続きを詳しく解説します!

2. 必須の許認可と取得手続き

ここでは、基本となる3つの許可とその取得方法について解説します。

飲食店を開業するには、最低限取得しなければならない許認可があります。


① 食品衛生法に基づく「飲食店営業許可」

飲食店営業許可は、食品衛生法に基づき、飲食物を提供する全ての店舗で必要です。

これは各自治体の保健所が管轄しており、申請しなければ営業を開始できません。

📌 申請の流れ

  1. 事前相談(保健所) → 申請に必要な要件を確認
  2. 申請書類の提出 → 申請書・店舗図面・設備の詳細を用意
  3. 施設検査(保健所の確認) → 設備や衛生管理の基準を満たしているか確認
  4. 営業許可証の交付 → 許可が下りたら営業開始可能

🔹 取得のポイント

店舗の設計段階で保健所に相談する(後から変更が難しいため)

衛生管理の基準を満たす(シンクの数、換気設備、冷蔵庫の配置など)

オープン前の検査をクリアする(衛生管理が不十分だと営業許可が下りない)


② 食品衛生責任者の資格取得

食品衛生責任者は、飲食店ごとに1名の設置が義務付けられている資格です。

特別な受験は不要で、各都道府県の食品衛生協会が実施する講習を受けることで取得できます。

📌 取得の流れ

  1. 講習会に申し込む(各地域の食品衛生協会で受付)
  2. 講習(1日程度)を受講する
  3. 修了証を受け取る → 取得後すぐに店舗で責任者として登録可能

🔹 取得のポイント

講習は定員があるため早めに申し込む

食品衛生責任者の役割を理解し、店舗の衛生管理を徹底する


③ 防火管理者の選任(必要な場合)

防火管理者の設置は、店舗の規模や収容人数によって義務付けられる場合があります。

特に、収容人数が30人以上の店舗は、防火管理者を選任しなければなりません。

📌 取得の流れ

  1. 講習会に申し込む(各都道府県の消防署)
  2. 2日間の講習を受講する
  3. 修了証を取得し、消防署に届け出る

🔹 取得のポイント

大規模な飲食店や居酒屋では必須

小規模店舗でも火災対策のために受講推奨


次のセクションへ|業態ごとに異なる追加許可とは?

ここまで、飲食店に必須の許認可について解説しました。

しかし、業態によっては追加の許可が必要になるケースもあります。

次のセクションでは、深夜営業やアルコール提供、キッチンカー営業など、

特定の条件で求められる追加許可について詳しく説明します!

3. 業態ごとに異なる追加許可

飲食店の基本的な営業許可は前セクションで紹介しましたが、業態によっては追加の許可や届出が必要になるケースがあります。

ここでは、深夜営業・移動販売・アルコール販売に関する手続きを解説します。


① 深夜営業を行う場合:「深夜酒類提供飲食店営業届」

居酒屋やバーなどで深夜0時以降も営業する場合は、警察署へ「深夜酒類提供飲食店営業届」を提出する必要があります。

この届出を行わずに営業すると、風営法違反となり、営業停止や罰則の対象になります。

📌 届出の流れ

  1. 店舗所在地の警察署へ相談(申請に必要な書類を確認)
  2. 届出書類の提出(営業開始の10日前まで)
  3. 審査後、問題がなければ営業可能

🔹 取得のポイント

深夜営業の要件(主に酒類の提供、風俗営業に該当しないこと)を確認

店舗の防音・照明・周辺環境などの基準を満たすこと

届け出が受理されるまで営業を開始できないので、早めの申請を!


② 屋外やキッチンカーで営業する場合:「露店・移動販売営業許可」

  • *屋外での飲食販売(キッチンカーや屋台営業)には、「露店・移動販売営業許可」**が必要です。

固定店舗の営業許可とは異なり、営業エリアごとに保健所の許可を取得する必要があります。

📌 取得の流れ

  1. 営業予定の地域の保健所へ相談
  2. キッチンカーの設備が基準を満たしているか確認
  3. 営業許可申請→施設検査を受ける
  4. 許可証を取得後、営業開始

🔹 取得のポイント

営業地域ごとに許可が必要なので、エリアを決めてから申請

水道設備・冷蔵庫・加熱設備など、保健所の基準を満たす

保健所によって求められる条件が異なるので、事前に確認!


③ アルコール販売を行う場合:「酒類販売業免許」

飲食店でアルコールを提供するだけなら免許不要ですが、瓶ビールやワインのテイクアウト販売を行う場合は、税務署で「酒類販売業免許」の取得が必須です。

📌 取得の流れ

  1. 税務署に申請書類を提出(営業許可証・事業計画書などが必要)
  2. 審査(通常2~3ヶ月かかる)
  3. 免許交付後、アルコール販売が可能に

🔹 取得のポイント

店内提供のみなら不要、テイクアウト販売を行う場合は免許が必要

取得には数ヶ月かかるため、開業前に申請しておくこと

販売できる酒類の種類・仕入れルートなど、細かい規制があるので要確認


次のセクションへ|許認可取得後の注意点

ここまで、飲食店の業態ごとに必要な追加許可について解説しました。

しかし、許可を取得した後も、定期的な管理や更新が必要です。

次のセクションでは、営業をスムーズに続けるための注意点を紹介します!

4. 許認可取得後の注意点|営業をスムーズに続けるために

許可を取得した後も、適切な管理や更新が必要です。

管理を怠ると営業停止や罰則のリスクがあるため、注意しましょう。


① 保健所の定期検査に備える

営業開始後も保健所の定期検査が行われ、基準を満たしていない場合は改善指導を受けることになります。

場合によっては営業停止処分を受けることもあるため、日頃から適切な管理を行いましょう。

主なチェックポイント

  • 厨房や調理器具の衛生管理
  • 食材の保存状態(冷蔵庫の温度や賞味期限の管理)
  • 従業員の衛生状態(手洗いや制服の清潔さ)

対策のポイント

  • 定期的に清掃・消毒を実施する
  • 食品衛生責任者の指導を徹底し、基準を守る
  • 保健所の指導には迅速に対応する

② 許認可の更新を忘れずに

営業許可には期限があり、定期的な更新が必要です。

例えば「飲食店営業許可」は5~6年ごとに更新しなければなりません。

主な更新が必要な許認可

  • 飲食店営業許可(自治体ごとに異なるが5~6年ごと)
  • 深夜酒類提供飲食店営業届(営業形態変更時に再届出が必要)
  • 防火管理者の届出(従業員が変わった場合の再申請)

対策のポイント

  • 更新期限を事前に確認し、スケジュールを管理する
  • 更新忘れは営業停止のリスクがあるため、余裕をもって手続きする
  • 営業形態を変更する場合、新たな届出が必要になることを把握しておく

③ 従業員が増えたときの手続き

新たに従業員を雇う場合、労務管理や食品衛生に関する追加手続きが必要になります。

主な手続き

  • 社会保険・雇用保険の加入(一定の条件を満たした場合)
  • 労働基準監督署への労働条件通知書の提出(正社員・アルバイト問わず)
  • 新たな食品衛生責任者の登録(必要な場合、講習の受講が必須)

対策のポイント

  • アルバイト・パートを雇う際も、労働条件を明確にしトラブルを防ぐ
  • 新しい従業員が食品衛生責任者になる場合は、講習の手続きを進める

次のセクションへ|許認可をスムーズに取得するためのチェックリスト

許認可を取得した後も、定期検査・更新・労務管理などを適切に行うことが重要です。

次のセクションでは、スムーズに手続きを進めるためのチェックリストを紹介します!

5. まとめ|許認可をスムーズに取得・管理するためのチェックリスト

飲食店の営業には、複数の許可や届出が必要です。

取得したら終わりではなく、定期的な管理や更新を忘れずに行うことが大切です。

ここでは、スムーズに許認可を取得し、適切に管理するためのチェックリストを紹介します。


✅ 許認可取得のチェックリスト

飲食店の営業に必要な基本の許可

飲食店営業許可(保健所に申請、施設検査あり)

食品衛生責任者の資格取得(講習を受講)

防火管理者の選任(収容人数30人以上の店舗は必要)

業態によって必要な追加許可

深夜酒類提供飲食店営業届(深夜0時以降に営業する場合)

露店・移動販売営業許可(キッチンカー・屋外販売を行う場合)

酒類販売業免許(アルコールのテイクアウト販売をする場合)

許認可取得後の管理

保健所の定期検査に対応(衛生基準を維持する)

許可の更新スケジュールを管理(更新忘れは営業停止のリスク)

従業員が増えた際の手続きを確認(食品衛生責任者の追加など)


許認可取得をスムーズに進めるポイント

1️⃣ 事前に必要な許可をリストアップする

店舗の営業形態に応じて、どの許可が必要かを確認しておく。

2️⃣ 開業スケジュールを考慮し、早めに申請する

申請から許可が下りるまでに2週間~1ヶ月かかるケースもあるため、計画的に準備する。

3️⃣ 保健所や税務署に事前相談をする

自治体によって求められる基準が異なるため、開業前に確認しておくとスムーズ。

4️⃣ 許認可の更新期限をカレンダー管理する

期限切れを防ぐため、事前にリマインダーを設定しておく。


まとめ|許認可の準備を万全にして、スムーズな開業を!

飲食店の開業・運営には、許認可の取得と適切な管理が不可欠です。

事前にしっかり準備を行うことで、スムーズな開業が可能になります。

必要な許認可をリストアップし、スケジュールを組む

申請に必要な書類を早めに準備する

営業開始後も、衛生管理や更新手続きを忘れずに行う

許認可の取得をクリアし、安心して飲食店経営をスタートしましょう!