Yelpとは?|訪日外国人が頼る「レビュー文化」とYelpの強み

Yelpの基本概要とユーザー層

Yelp(イェルプ)は、アメリカを中心に広く使われているレビューサイトです。レストランやカフェをはじめ、小売店、美容室、病院まで、多様なジャンルの店舗に対してユーザーが口コミを投稿し、評価できるサービスとして人気を集めています。

日本ではまだそこまで知名度が高くないかもしれませんが、欧米圏ではYelpが日常の検索ツールとして根付いており、特にアメリカでは地元の人も観光客も「まずYelpで調べる」という行動が一般的になっています。

月間数千万規模の利用者を誇るYelpは、スマートフォン経由での利用が非常に多く、旅先で“今すぐ行ける良い店”を探すためのツールとして重宝されています。

Yelpの主なユーザーは以下のような傾向があります:

  • 英語話者を中心とした欧米圏の旅行者
  • レビューや評価を重視するミレニアル〜Z世代
  • 都市部を移動しながら飲食店や観光地を探すユーザー

つまり、Yelpは「インバウンド集客を強化したい店舗」にとって非常に有効なチャネルと言えるのです。


なぜアメリカ人観光客はYelpを使うのか?

欧米の旅行者にとって、「レビュー」は店選びの基準そのものです。どれだけ見た目が良い店でも、口コミが少なかったり評価が低かったりすると、選ばれる可能性は大きく下がってしまいます。それほどまでに、レビューへの信頼度が高い文化が根づいています。

Yelpのように、レビュー数が多く、詳細なコメントが並んでいるサイトは、「信用できる情報源」として重宝されるのです。しかも、インターフェースは英語を基本とし、多言語対応も進んでいるため、海外からの旅行者が使いやすい設計になっています。

ここで重要なのが、彼らにとって「英語で情報が得られること」は、オプションではなく当然の前提という点です。日本語しかない店舗情報では、そもそも検索結果に出てこなかったり、ページを開いてもすぐに離脱されたりします。Yelpに英語で情報を掲載することは、それだけで大きな集客力につながるのです。


GoogleマップやTripAdvisorとの違い

似たような口コミ系サービスとして、GoogleマップやTripAdvisorが挙げられますが、Yelpには独自の強みがあります。

たとえば、レビューの「信頼性」に関して言えば、YelpはAIによるレビューのチェック体制が整っており、質の高い情報が保たれやすい設計になっています。スパムやサクラ的なレビューが少なく、リアルで生々しい体験談が集まりやすいのも、ユーザーにとって安心感があります。

また、TripAdvisorが観光地やホテル向け、Googleマップが地図連携の利便性に優れている一方で、Yelpは飲食店特化型の情報が豊富で、レビュー密度も高く、飲食業界にとっては非常に相性の良いプラットフォームです。

さらに、YelpのUIは直感的で使いやすく、スマートフォンでも非常にスムーズに店舗検索ができるため、街歩きをしながら「次に行く店」を探すユーザーにとって理想的なツールとなっています。


Yelpのビジネス登録方法|初心者でも安心のステップバイステップ解説

登録に必要な準備とアカウント作成手順

Yelpでビジネスを始めるために必要なのは、意外にもたったの数ステップです。

登録は無料で、難しい書類や審査もありません。まずは以下の準備をしましょう。

登録前に準備しておくとスムーズな情報

  • 店舗名(日本語・英語の両方があるとベター)
  • 正確な住所(Googleマップで検索可能な表記)
  • 営業時間と定休日
  • 電話番号、公式サイトのURL(あれば)
  • 写真素材(店舗外観・内観、料理写真など)

これらが揃ったら、Yelp for Business公式サイトにアクセスし、「Claim Your Business(ビジネスの登録)」からスタートします。

  1. Yelp検索で自店舗を検索し、候補が出れば「このビジネスのオーナーですか?」をクリック
  2. 出てこない場合は「ビジネスを追加する」から新規登録へ
  3. 店舗の基本情報を入力(名前・住所・カテゴリなど)
  4. オーナー確認のためのアカウント作成(メール・パスワードの登録)
  5. Yelpからの認証手続き(電話・メールで確認)

作業は10〜15分ほどで完了し、早ければ当日中にページが公開されるケースもあります。


オーナー確認(Claim)の進め方と注意点

Yelpでは、すでに登録されている店舗ページの「オーナー確認(Claim)」を行うことで、情報編集やレビュー管理ができるようになります。

自分の店舗がすでにYelp上に存在していた場合は、必ずこのオーナー権限を取得しましょう。やり方はシンプルですが、いくつか注意点があります。

  • 確認手段は電話 or メールのどちらか:入力した店舗電話番号に自動音声でPINコードが届く場合が多いです
  • 虚偽の申請や重複登録はペナルティ対象に:意図的でなくても、同一店舗が複数存在すると信頼性に関わるため注意が必要です
  • オーナー確認が完了しないと、写真や営業時間などを編集できない

Claimが完了すると、店舗ページ上に「Verified」と表示され、ユーザーからの信頼感もアップします。


店舗情報・営業時間・カテゴリーの設定ポイント

Yelpで店舗を見つけてもらうには、「検索されやすい情報の整備」が鍵になります。特に以下の3点は重要です。

  1. 営業時間は曜日ごとに細かく登録:昼・夜の二部営業なども細かく設定可能
  2. カテゴリ選びは英語でも表記が必要:「Japanese Restaurant」や「Ramen」など、英語でのタグ付けが検索結果に影響します
  3. 説明文には店舗の強みを端的に:英語+簡潔な文体で、「What makes you special?(あなたの店の魅力は?)」に答えましょう

Yelpユーザーは日本語が読めないケースが大半のため、英語での登録・表示を意識しておくと集客力に差が出ます。


魅力的な写真やメニュー登録のコツ

画像は、Yelp上でユーザーが最も注目する要素のひとつです。レビューよりも先に視覚的印象が判断されるため、写真の質で勝負が決まるといっても過言ではありません。

効果的な写真のポイント

  • 店舗外観:初めて訪れる人が迷わないよう、昼間の外観写真は必須
  • 店内写真:席数や雰囲気が伝わるよう、明るい時間帯の撮影を推奨
  • 料理写真:メニューの代表的な一皿を“引きと寄り”で複数枚掲載
  • スタッフ:ホスピタリティや人柄が伝わると好印象

Yelpは写真の枚数が多いほど閲覧数が伸びやすく、写真が充実している店舗は平均よりクリック率が高いというデータもあります。

また、メニューに関しても英語での表記があると、訪日外国人にとって大きな安心材料になります。可能であればPDFや画像でのアップロードも検討しましょう。


店舗ページ最適化で集客力を最大化|レビュー・写真・英語対応が鍵

レビューを集める方法と注意点(フィルターに注意)

Yelpでの集客力を高めるには、レビューの質と量が大きなカギを握ります。

星の数だけでなく、コメントの具体性や信頼性も含めて評価されるため、意図的に増やすことは難しく、かつ繊細な対応が求められます。

特にYelpは、AIによるレビューの自動フィルタリング機能が非常に強力です。たとえ本当に来店したお客様のレビューでも、Yelp側が「信頼性に欠ける」と判断すると、自動的に非表示になることがあります。

フィルターされやすいレビューの傾向

  • 初めてYelpを使うアカウントからの投稿
  • 内容があまりに短すぎるもの(例:Good! など)
  • 同じWi-FiやIPアドレスから短時間に連続投稿されたもの

だからこそ、レビューを集める際は「お客様に頼む」よりも、「自然と書きたくなる体験」を提供することが一番の近道です。

  • レジ横や会計時にYelpの案内を目立たせる(ステッカー・QRコードなど)
  • 海外ユーザーには「よろしければYelpでご感想いただけると嬉しいです」と英語で声かけ
  • SNSや店内POPにYelpページのURLを記載

促し方を“ナチュラル”に演出することが重要です。無理に頼んでしまうと逆効果になることもあるため、誠実なスタンスを大切にしましょう。


「英語+高評価+写真」の黄金バランスとは

訪日外国人ユーザーがYelpで店舗を探すとき、真っ先に見るのは「★の数」と「写真」です。そして、そこに英語で書かれた情報があるかどうかで、来店のハードルは大きく変わります。

成功しているページには共通点があります。それは、次の3つの要素をすべて兼ね備えていることです。

  1. 英語で書かれた分かりやすい説明文 – 「Authentic ramen with rich tonkotsu broth, handmade daily.」など、料理や雰囲気が一文で伝わる表現。
  2. 最新かつ高品質な写真が豊富に掲載されている – 特に料理・内観・アクセスの3カテゴリは、最低でも各3枚ずつ。
  3. レビュー数が10件以上あり、評価が平均4.0以上 – Yelpでは、3.5と4.0の差が“選ばれるかどうか”に大きく影響します。

この3点セットを意識するだけで、検索結果での表示回数もクリック率も向上します。中でも英語対応は、多くの日本の店舗がまだ対応していない分、差別化のチャンスです。


レビュー返信テンプレートと炎上防止の対応術

レビューが集まってくると、当然ながらポジティブなものもあれば、時にはネガティブな声も届きます。ここで大切なのは、「返信の姿勢」です。

Yelpでは、オーナーがレビューに丁寧に返信していると、ユーザーからの信頼が上がり、リピートや紹介にもつながりやすくなります。

好意的なレビューへの返信例:

“Thank you so much for visiting us! We’re so happy you enjoyed our sushi and hope to welcome you again soon!”

否定的なレビューへの返信例:

“We’re sorry to hear your experience didn’t meet expectations. We take your feedback seriously and will work to improve.”

ポイントは、感情的に反応せず、常に丁寧で前向きなトーンを保つことです。

返信を見ているのは投稿者だけでなく、これから来る可能性のある他のユーザーたちでもある、という意識を忘れないようにしましょう。

また、悪質なレビューや事実と異なる投稿があった場合は、Yelp内から報告(Report)を送ることもできます。すぐに削除されるとは限りませんが、運営側のチェック対象になります。


Yelpで訪日外国人観光客を呼び込む5つの戦略

アメリカ発のレビュー文化に対応するには

アメリカやカナダ、オーストラリアといった英語圏では、「レビューを信じてお店を選ぶ」文化が当たり前になっています。観光ガイドや地元の人のおすすめよりも、Yelp上の星の数とコメントの中身こそが判断材料。

この文化に対応するには、ただYelpに登録するだけでは不十分です。信頼される店舗ページをつくる=高評価レビュー+英語対応+写真の充実がそろって初めて、「行ってみたい」と思われる状態になります。

日本の飲食店にありがちなのは、情報が日本語のみ、説明が短い、写真が少ない――こうした状態では、せっかくYelpを使っている外国人ユーザーにもスルーされてしまいます。


「英語対応」は親切ではなく“前提”になる

多くの店舗が誤解しがちなのが、「英語表記は余裕があればすればいいもの」という考え方。

実際には、英語で情報を提供することは“あたりまえ”であり、それがないだけで「外国人お断り」の印象すら与えてしまうリスクがあります。

では、何を英語化すればいいのでしょうか?

  • 店舗説明文(簡潔でわかりやすい英文を用意)
  • メニュー(紙でなくても画像アップロードやPDFでOK)
  • 店舗名・カテゴリ(「Izakaya」や「Sushi Bar」など、英語圏で伝わる表現を)

Yelpは多言語に対応していますが、店舗側が英語での情報発信を意識することで検索結果にも反映されやすくなり、閲覧率が上がります。


SNS連携・予約導線の作り方

Yelpページを見てくれた人を「実際の来店」へつなげるには、他の導線との連携が効果的です。

特に以下のようなポイントが挙げられます:

  • InstagramやGoogleマップへのリンクをプロフィールに記載
  • 予約サイト(TableCheckやOpenTableなど)との接続
  • Googleカレンダーなどへのイベント告知連動

また、海外ユーザーはYelpで店舗を見たあとにInstagramをチェックする傾向が強いため、SNSの投稿内容やアカウントの世界観も統一しておくと、ブランド力が高まります。


Yelp広告やプレミアム機能の活用は必要か?

Yelpには、有料プラン(Yelp Ads)やプレミアム機能も用意されていますが、これらはあくまで「ある程度レビューが集まり、ページが整ってから」の話です。

無料プランだけでも十分に集客効果を得ることができるため、まずは以下を整えることが先決です:

  • ページ情報の充実(英語化・写真の最適化)
  • 10件以上のレビュー獲得
  • 星4.0以上の評価維持
  • 英語でのレビュー返信実施

そのうえで、特定の時期(例:春の花見、秋の紅葉シーズンなど)にスポットで広告を出すと、地域限定のインバウンド需要を狙い撃ちできます。


まとめ|Google依存から脱却し、外国人に“見つけられる”飲食店へ

今すぐ始めるための3ステップ

ここまでお読みいただいた方は、Yelpが単なる口コミサイトではなく、訪日外国人の集客に欠かせないインフラであることをご理解いただけたと思います。

「やってみたいけど何から始めればいいのか分からない」という方に向けて、まず着手すべき3つのステップを整理しました。


ステップ①:Yelpページの登録 or Claim(オーナー確認)

まずは自店がすでに登録されているか確認し、必要に応じて新規登録またはオーナー申請を行いましょう。

ステップ②:英語での情報整備(説明・写真・メニュー)

外国人が安心して来店できるよう、英語での店舗紹介、料理写真、簡単なアクセス案内を充実させます。

ステップ③:レビューを集める環境づくりと返信体制

無理に依頼せず、自然に口コミが増えるよう工夫を凝らし、集まったレビューには丁寧に返信を行うことが大切です。


Yelpでできる“未来への集客投資”

日本の飲食店は、これまで主にGoogleマップや食べログ、ぐるなびといった国内中心の媒体に頼ってきました。しかしインバウンド需要の再拡大に伴い、「英語圏からどう見えるか」を意識した集客戦略がこれからの時代の鍵を握ります。

Yelpはそのための「もう一つの検索エンジン」であり、早い段階でしっかり育てておけば、将来的に大きな差別化になります。

登録は無料、操作も直感的で、今すぐ始められる。

今後のビジネスの土台として、ぜひ今日から取り組んでみてください。